新型コロナの拡大がもたらしうる消費者契約法違反リスク

新型コロナウイルスの感染者が増加しつつあります。

このまま新型コロナウイルス感染症の被害の拡大が続けば,建設業界では必要な材料や部品の供給が遅れ,ひいては工期が遅れる可能性がある事実を施主に伝えず請負契約を締結する企業も出てくるかもしれません。
そうすると施主は,「工期が大幅に遅れるという重大な事実を隠されて請負契約を締結させられた」と認識することでしょう。

この場合,消費者は,当該請負契約を消費者契約法4条2項に基づき,取り消すことができる可能性があります。
現状では,資材調達困難により工期遅延の可能性が存在する,という点について,契約時に施主に明確に説明をするべきでしょう。

消費者契約法4条2項
 事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し,当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ,かつ,当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより,当該事実が存在しないとの誤認をし,それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは,これを取り消すことができる。

当院では内容証明郵便の作成を行っております。
消費者契約法4条2項に基づいて請負契約を取り消したい方,お気軽にご相談下さい。

ところで工期の記載は請負契約書に明記すべき事項とされています(建設業法19条)。つまり,契約書記載を省略することはできないということです。
そこで,新築工事請負契約の場合,一般に,契約後工事着手は約半年後となることから,契約工期をやや長めに記載することで,その後の状況の変化に応じ,工期変更にて対応を行うことも考えられます。

この場合であっても,新型コロナウイルス感染症の影響により,納品遅延が生じる事実は,消費者契約法違反となるリスクを回避するべく,説明しなければなりません。定めた工期を変更することとなる可能性についても説明しましょう。

こういった場合,下記のような特約を請負契約の特記事項として定めるべきでしょう。

工期に関する規定の特約
発注者と受注者は,中国における新型コロナウイルスの感染拡大に係る影響により,建材や設備機器が納期未定の状況にあることに鑑み,標記工期は予定工期かつ努力目標とし,発注者及び受注者は工期を延長する事がある事をあらかじめ承諾する。

当院では契約書の作成も対応可能です。お気軽にご相談ください。

 

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